カブ(HA02)ポート加工とシリンダーヘッドOH

前回の記事で「シリンダー&ピストン交換」を行ったついでにヘッドもキレイにとのことでOHしました。といっても交換した部品はステムシールのみで、本当の目的はタイトルにもある通りポート加工でしたが・・・

シリンダーヘッド分解

ステムシールの交換やポート加工の前にヘッドを分解しなくてはいけないので、バルブスプリングコンプレッサーを使いスプリングを外していきます。

カムシャフトはすでに取り外し済みです。タペットがフリーの状態であれば手でも外せますが、ベアリング外周が固着している場合などは、カムの出口を下にして軽くプラハンで叩いてあげましょう!※ヘッドによってはタペットを外さないとカムが外れない場合もあります。

カムが落ちても傷がつかないようにタオルの上などで作業してくださいね。

POINT

・スプリングを縮めるとバルブコッタ(半月型の小さい部品×2)が外れるので無くさないように注意してください。固着していると、いきなり外れてコッタが飛ぶ場合があるので手でガードしながら作業するのがおすすめ!
・外したスプリング、コッタ、タペットなどの部品はIN側とEX側に分けて新聞紙などに包んで分かるようにしておきましょう。
・新聞紙にはIN/EXのメモを忘れずに!
・IN側とEX側を逆につけたり、バラバラに付けたりするとタペット調整がいつまでも終わりません。

ポート加工

さっそくポート加工です。初めてなのでやっちゃいけないことをしている感覚になりドキドキしながら作業しました。

こういう作業は思い切りが大事です。(持論)

キャブからヘッドまで同じ径が続き、バルブ手前でキュッと絞られているのが理想という事なのですが、加工前のポート径を計ってみると

吸気側

  • IN(キャブ側):18㎜
  • OUT(バルブ側):20㎜

排気側

  • IN(バルブ側):17.5㎜
  • OUT(マフラー側):19.8㎜

実寸はこんな感じ。

吸気側が理想と真逆やんけ!気に食わん!

というのも、この状態では一番流速を上げたいはずのバルブ付近の方が広いため流速が落ちてしまう。と思う。

という事で、構想はこうだ!

吸気側はキャブ(PC20)のヘッド側が22㎜なので

  • IN(キャブ側):22㎜
  • OUT(バルブ側):20㎜

排気側はマフラー側を慣らす程度

  • IN(バルブ側):17.5㎜
  • OUT(マフラー側):20㎜

※オレンジが変更点

これなら、燃焼室内への流入時に流速が上がるはず!排気側はシビアだと聞くので周りを慣らすだけに留めておきました。

という事で、初ポート加工へ

加工方法

リューターに超硬バー(ビット)なるものを付けて、ゴリゴリ!

っと、こんな具合に削りました。削った後に測るのを忘れてしまいましたが、入り口をステップドリルの22㎜で削ったので入り口は間違いなく22㎜のはずです。

作業時間は2~3時間ぐらいやったかな?集中していたので結構早く感じました。

ちなみに、ステップドリルの先端は、そのままだとバルブガイドなどに当たって余計なところに傷が入ってしまうので画像のように加工しました。

バルブの研磨・鏡面加工

取り出したバルブです。せっかく外したのですからきれいにしちゃいましょう。

バルブの燃焼室側は段差ができるほどカーボンが付着してますね。

対して外側はそれほど付着もなくきれいな状態でした。

バルブの形状加工&鏡面加工

写真は取り忘れてしまいましたが、バルブが閉じている時にバルブの外周部分の厚みでバルブシートとの段差が抵抗になりそうで気にいりません。

あるサイトではその段差(燃焼室側)を斜めにカットしてバルブが開いた瞬間の流速を高めることが出来るそうな。

という事で、こうなりました。

バルブの研磨自体は、グラインダーにバルブを取り付け、回転させながらリューター(超硬バー)とヤスリ、砥石で削りました。最後は青棒で鏡面にしています。

効果があるのか分かりません!(笑)

というか、そもそもボアアップとポート加工も同時に行っていますから検証できません。完全なる自己満足です。

ただ、バルブの鏡面加工について調べてみると効果がありそうな記述を発見しました。

興味が無い方は飛ばしてください。

バルブ鏡面加工(燃焼室側)の効果について

まず「鏡面加工を施すことでの効果」ですが「耐ノック性の向上」とのこと。つまりノッキングをさせないようにする技術です。

POINT

ノッキングとは、不適切なタイミングで混合気に自然着火してしまう現象のこと
通常はタイミングベルトやチェーンによってバルブ開閉や点火タイミングがキッチリ決定されているが、別の要因、例えばピストンでの空気圧縮時に発生する温度上昇などにより不適切なタイミングで自然着火してしまう現象です。これは、圧縮比が高くなるほど発生しやすくなるため、圧縮比の高いエンジン(ターボ等)はハイオクを入れる必要があります。また「空気圧縮時に発生する温度上昇」を利用して適切なタイミングで自然着火させるのがディーゼルエンジンです。

ホンダのS07B型エンジンに使われている技術で、17年デビューのN-BOXから搭載されているとのこと。

なぜノッキングが起きにくくできるのか?

答えは「バルブに熱が伝わりにくくなる」からだそうで、ノッキングの起きる要因は上記POINTでも解説しましたが、要因の一つでバルブに熱が籠ってしまい高温になったバルブがきっかけで「着火→ノッキング」になることもあるようです。

イメージしやすいのは、赤くなるほど熱した鉄でタバコに火が付いてしまう感じでしょうか。

本題に戻しますと、

従来のバルブは燃焼室側中央が窪んでおり、小さな凹凸がありますが、画像のバルブは面全体がフラットになっており、鏡面になっております。

  • 従来のバルブ:窪みや小さな凹凸のせいで、熱に晒される面積が大きい
  • 鏡面のバルブ:フラットで鏡面になるほど平らなので熱に晒される面積が小さい

という事。

そもそも、バルブに熱を溜めないようにしようといった技術でした。

そう考えると圧縮率が上がり、ハイオク推奨が殆どのボアアップには相性がいいのかもしれませんね。

筆者の場合、鏡面にしただけでフラットにはしていないので効果薄だと思いますけど・・・結果ただの自己満です。

バルブの擦り合わせ

擦り合わせも行っておきましょう。

後で知ったことですが、バルブの当たり面は細い方がパワーが出るようですね。ただ、髪の毛のように細いと一瞬のパワーを手に入れる代わりに、力が一点集中するためバルブシールの寿命が短くなる傾向にあるようです。

ちなみにカブの吸排気のバルブの当たり面は1㎜~1.5㎜の間に収まっていればOK。

測ってはいませんが、共用範囲には収まっていそうです。

擦り合わせ方法

光明丹でバルブの当たり確認中

方法は単純で、タコ棒バルブを貼り付けバルブコンパウンドを当たり面に中目、細目の順に「叩き回し」ながら、言葉通り擦り合わせていきます。

どのくらいまでやればいいのか?

いくつかのサイトを拝見しましたが「適度にすり合わせを行う」等、表現が曖昧で明確な答えがなかなか見つかりませんでした。中には45秒程度などと時間で書かれている物もありましたが「秒数で作業しても、キッチリ当たりが出なかったら意味ないやん!」と腑に落ちませんでした。

そこで筆者なりに考えた結果

  1. スタンプしたとき光明丹が1週付着すること
  2. スタンプの幅が許容範囲内であること(カブ:1㎜~1.5㎜)

1.のスタンプについては

  • バルブフェースに光明丹を塗ってスタンプし、バルブシールを確認
  • バルブシールに光明丹を塗って、バルブフェースを確認

の2方向から確認としました。

答えは分かりませんが、バルブ擦り合わせの要点は抑えているのではないかと思います。

ちなみに光明丹ですが、印鑑のインクで代用できます。また、塗る時は綿棒を使うと塗りやすいです。

応用として、インクを塗ったカバー類をパッキン紙にスタンプすれば、ガスケットも自作できちゃいます。

シリンダーヘッドの組付け

すべての作業が終わったらいよいよ組付けて完成です。

ここまで16時間程度、完成まで2日半に分けて作業しています。長い時間ですが集中しすぎてゾーンに入っていたようで、1日が一瞬でした。

細かい作業は省きますが、パーツリストを確認しつつ取り付けていきます。

POINT

カムのギヤにある印とフライホイールのTがケースの切り欠きに合うように取り付けることを忘れずに!
そのあと、フライホイールを手で回しスムーズに回るか確認しましょう。違和感がある場合は最初から見直してください。

最後にタペットのクリアランス調整をして完了です。

タペットのクリアランス調整

カブ90(HA02)の調整幅は

吸気側・排気側共に0.05mm(±0.02)が規定値

つまり、シックネスゲージの0.05㎜で調整を行い、0.07㎜が入らなければOKということ。

調整にはタペットアジャストレンチなる工具を購入しておきました。

やはり工具は偉大ですね!無くてもできる作業ですが、専用工具を使った方が断然やり易いです。初心者は特に!

エンジン始動

待ちに待ったエンジン初始動です。

ワクワクとドキドキが相交じり勃・・・

頭がおかしくなりそうです!

いざ点火!

トトトトトトトトトッ

カブのジェントルな音が響きます!

ウェイウェイウェイ!!歓喜!もうイッ・・・

無事エンジンが掛かりました!

アクセルを開けるとエンジンからパンッ!・・・

!?

もう一度、アクセルを開けるとパンッ!・・・

あっためてもパンッ!

朝はパン、パンパパン♬・・・

意味がわかりません。

バックファイヤーの症状に一気に萎えました。

ですが、実を言うと「なぜ!?」と同時に「やっぱり?」と思い当たる節がありました。

それはポート加工まで遡るのですが、実は加工時に一瞬だけ吸気側のバルブシールにビットを一瞬当てておりました。ただ、バルブすり合わせで見えなくなるほど少しの傷だったので、ヤバイと思いながらも、入念にすり合わせを行い作業を進めていたのです。

タイミングが遅れ気味になると、バックファイヤーの症状が出るとの記述もあったので、タイミングチェーンのズレも再確認しましたが問題無しでした。

かろうじて、アクセルをゆーーっくり4分の1程度回す分にはバックファイヤーしなかったので、時間もないことから一旦作業を完了し1週間通勤に使いました。

ヘッドを購入したのは、言うまでもありません。

追記

バックファイヤーと思っていた症状ですが、別の原因でした。

今回使用した道具・部品

道具紹介

今回の作業に使った道具(画像)の紹介です。

バルブスプリングコンプレッサーなんて整備専門学校時代の授業と整備士時代に「スズキ エブリィ」のヘッド分解したときの計2回しか使ったことない代物っす!(笑)

こういった専用工具は使う頻度が極端に少ないのですが、無いと作業できないので購入するしかありません。現代は探せば安い物も販売されているのはありがたいですね。

ちなみに画像のバルブスプリングコンプレッサーは購入時2000円程度で手に入れました。

分解・調整用

注意

タペットアジャストレンチは「ロ型」と「I型」が有るので注意!
車両に合わせて購入してください。

部品・パーツ類

注意

モンキー系の横型エンジンは互換性がありますが、ヘッドガスケットは排気量により別途購入が必要です。

ポート加工用

まとめ

今回は初めてポート加工というロマンの詰まった作業を行ったわけですが、初めての作業なので不安でしかありませんでした。

ですが、いざ始まってしまえば非常に楽しく、時間を忘れて作業してしまいました。

結果的にシールの傷が原因?でバックファイヤーするようになってしまったのですが、これも良い経験値です。

※バックファイヤーの原因が100%バルブシールの傷とは断定出来ていない状態です。

作業自体もスムーズにできたと思います。

確かに元々の知識も確かにありますが、色々な資料を読み漁り、構造や仕組みを理論建てて理解していたのがスムーズな作業に繋がったと思います。

ちなみにウェビックというサイトで無料でパーツリストを確認できますので活用してください。

下記のような、指南書を読んでからスタートするのでもいいです。

初心者の方でも構造さえしっかり理解すれば腰上ぐらい、すぐ分解組み立ては出来てしまうと思いますよ!

ボルトを外してバネが飛び出してくるのは「タイミングチェーン・テンショナー」ぐらいだと思いますので安心してください。

タイミングチェーン・テンショナーですらシリンダー&ピストン交換では外さなくても作業できます。

自分にはできないと不安になる気持ちも理解できますが、出来るようになるとメッチャ楽しくなりますので、是非殻を破って、挑戦してみてください。

この記事を書いた人

ノリン

釣り好き、バイク好きの元整備士で、現在SE?をしていることから、勉強にもなるだろうと思いサイトを運営しています。
釣り歴は5年ですが、調べ物が大得意でいくつもの資料で調べた情報と少ない経験を執筆しています。
また、元整備士でホンダ カブ90にも乗っているので、バイクの修理・改造についての記事も執筆しています。
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